福島県飯舘村が原発事故の影響から全村民避難(計画的避難地域の指定)という過酷な事態に直面
しています。多くのメディアがすでに報道している通りです。人口約6100人のうち、すでに80%程度
の村民が村を後にし、多くの人たちが新たな職を探し続けるという厳しい生活を強いられています。
毎週、取材に訪れていて、いま、眼前に広がる光景は作付け禁止によって荒れ果ててしまった田畑。
それから、村の各所にある墓地に手向けられた色鮮やかな花々。村を出る村民たちが別れを告げた
悲しい残照です。
飯舘村はかつて、「冷害、雹害で作物が全滅」「豪雪で孤立化」といった厳しい自然災害 のときにしか
報じられることがない農村でした。そこから村民たちは努力を重ねて、財政的にも自立した豊かなコミュ
ニティーを築き上げました。効率化一辺倒の潮流とは一線を画するスローライフの生活。 「丁寧に」「き
め細かく」「心を込めて」という意味である、この地の方言「までい」を組み合わせた「までいライフ」を基本
ビジョンとして掲げてきました。
そんな素晴らしい村が崩壊の危機にさらされているのが今です。
しかし、村民はあきらめません。避難措置が解除され、元の生活を取り戻すまでどの程度の年月を費や
すことになるのかは分かりませんが、帰村の希望を棄てず、村復興への取り組みを始めています。その
ひとつが村を紹介する『までいの力』(定価2500円)という書籍の発行です。この販売収益は復興資金
になります。
福島県では「頑張ろう」を「がんばっぺ」と言います。「がんばっぺ」という気持ちで、同書を購入して頂け
れば幸いです。そして、飯舘村に限らず、被災地のすべての方々に心から「がんばっぺ」のエールをお送
りしたいと思います。
村を去る前に手向けられた無数の花束
何も植えられないままの畑
☆飯 舘 村
浪川攻(26回)
飯舘村村長の菅野さん・村を離れる村民の方々へのご挨拶
飯舘村の村役場は今月22日に福島市に移転される・・・。